この科目群について
第38回の 介護福祉士国家試験で、「認知症の理解」は パートBに 入っていて、問題81〜90の 10問 でした。
合格するには、総得点の 合格基準(第38回は 125点のうち 64点以上)を 満たし、さらに 11の 科目群 すべてで 得点が あることが 必要でした。くわしくは 合格基準の 記事 を 見てください。
問題と 正答は、社会福祉振興・試験センターが 公開している 第38回の 試験問題と「合格基準・正答一覧」に よります。問題の 文は 変えていません。
解説は PassQuest が 独自に 書いたもので、社会福祉振興・試験センターとは 関係が ありません。
法律や 制度は、試験の あとに 変わることが あります。新しい 情報も、公式の 案内で 確かめてください。
問題の一覧
問題を 読んで、自分で 答えを 決めてから「答えと解説を見る」を 開いてください。
問題81
次の記述のうち,認知症(dementia)のある人にみられる妄想の説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1自分でしまい忘れた物が見つからず,誰かが盗んだと思い込むのは,嫉妬妄想である。
- 2孫と会って話をしたにもかかわらず,孫にずっと会わせてもらえていないと主張するのは,カプグラ症候群である。
- 3介護支援専門員(ケアマネジャー)と妻が話しているのを見て,妻の浮気相手だと思い込むのは,幻の同居人である。
- 4家族など身近な人がよく似た偽物と入れ替わっていると主張するのは,被害妄想である。
- 5身体的疾患がないにもかかわらず,自分が病気だと思い込むのは,心気妄想である。
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正答:5
正解は5です。心気妄想は、体に病気がないのに「自分は重い病気だ」と強く思い込むものです。うつ状態や認知症のある人にもみられます。訂正しようとするより先に、不安な気持ちを理解することが大切です。否定せず背景を探り、安心できる関わりで訴えを受け止めます。
1.しまい忘れた物を誰かが盗んだと思い込むのは、物盗られ妄想です。
2.会ったのに会わせてもらえないと主張するのは、被害妄想にあたります。
3.妻が浮気していると思い込むのは、嫉妬妄想です。
4.身近な人が偽物と入れ替わったと主張するのは、カプグラ症候群です。
5.正解です。
問題82
次の記述のうち,認知症(dementia)の人への取り組みとその説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1本人ミーティングでは,当事者たちが語り合い社会に発信も行う。
- 2認知症初期集中支援チームは,要介護認定を行う。
- 3若年性認知症支援コーディネーターは,認知症(dementia)の診断を行う。
- 4認知症疾患医療センターは,地域ケア会議を開催する。
- 5認知症カフェは,認知症介護指導者を養成する。
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正答:1
正解は1です。本人ミーティングは、認知症のある本人どうしが集まって思いや希望を語り合い、その声を社会に発信していく取り組みです。支援される人としてだけ見るのではなく、本人の言葉を中心に置く姿勢が、地域の理解と共生を進めます。
1.正解です。
2.認知症初期集中支援チームは早期の受診や支援につなげる役割で、要介護認定は行いません。
3.若年性認知症支援コーディネーターは相談や関係機関の調整を行い、診断はしません。
4.地域ケア会議を開くのは、主に地域包括支援センターです。
5.認知症カフェは本人や家族、地域の人が集まる場で、指導者の養成は行いません。
問題83
次の記述のうち,認知症(dementia)の行動・心理症状(BPSD)に該当するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 110分前に施設職員が挨拶しに来たことを,覚えていない。
- 2病院にいるのに,自宅にいると思っている。
- 3通所介護(デイサービス)を利用中に,出口を探して歩き回る。
- 4薬を処方されても,服薬管理ができない。
- 5入浴を促すと,湯につかるだけで出てくる。
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正答:3
正解は3です。BPSD(行動・心理症状)は、不安や体調、まわりの環境の影響で出てくる症状です。デイサービスの利用中に出口を探して歩き回るのは、帰りたい気持ちや不安からくる行動で、BPSDにあたります。理由を想像し、安心できる環境を整える対応が有効です。
1.少し前のあいさつを覚えていないのは記憶障害で、中核症状です。
2.今いる場所が分からないのは見当識障害で、中核症状です。
3.正解です。
4.服薬管理ができないのは、中核症状による生活行為の低下です。
5.入浴の手順を順序よく行えずに、湯につかるだけで出てくるのは、実行機能障害(中核症状)と考えられます。
問題84
次の記述のうち,アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1古い記憶から障害され,徐々に新しい記憶も障害される。
- 2認知機能が変動することが特徴的である。
- 3ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)の障害は,重度期以降に認められる。
- 4見当識障害は,中期以降に認められる。
- 5記憶障害は,初期から認められる。
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正答:5
正解は5です。アルツハイマー型認知症は、初期から新しいことを覚えられない記憶障害があらわれます。少し前の出来事から忘れやすく、不安が増えやすいので、手がかりを増やして「できる形」に整える支援が大切です。
1.記憶は新しいものから障害され、古い記憶は比較的長く保たれます。
2.認知機能が日によって大きく変動するのは、レビー小体型認知症の特徴です。
3.ADLの障害は重度期を待たず、中期ごろから少しずつあらわれます。
4.見当識障害は初期から、時間が分からなくなる形であらわれます。
5.正解です。
問題85
次のうち,レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)の症状として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1ノンレム睡眠行動障害による大声
- 2自律神経症状による起立性低血圧(orthostatic hypotension)
- 3聴覚認知機能の障害による幻聴
- 4側頭葉の萎縮による意味性失語
- 5嚥下機能の促進による食欲増加
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正答:2
正解は2です。レビー小体型認知症では、はっきりした幻視や認知機能の変動、パーキンソン症状に加えて、自律神経の症状がみられます。血圧を調整する力が弱くなるため、立ち上がったときに血圧が下がる起立性低血圧が起こりやすく、転倒に注意が必要です。
1.みられるのはノンレム睡眠ではなく、レム睡眠行動障害で、夢に合わせて大声を出したり動いたりします。
2.正解です。
3.特徴的なのは幻聴ではなく、人や動物がはっきり見える幻視です。
4.側頭葉の萎縮による意味性失語は、前頭側頭型認知症でみられます。
5.嚥下機能はむしろ低下しやすく、食欲が増えるわけではありません。
問題86
次のうち,認知症(dementia)の人の生活をアセスメントするうえで,身体的要因に含まれる項目として,適切なものを1つ選びなさい。
- 1性格
- 2居住環境
- 3人的環境
- 4IADL(Instrumental Activities of Daily Living:手段的日常生活動作)
- 5社会とのつながり
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正答:4
正解は4です。IADLは、買い物や調理、お金や薬の管理など、生活を支えるやや複雑な動作のことです。本人の心身のはたらきによる生活能力を示すため、アセスメントでは身体的要因に含めて考えます。できる・できないだけでなく、環境調整で補える部分を探す視点も大切です。
1.性格は、本人の心理的な要因です。
2.居住環境は、住まいの状況を示す環境の要因です。
3.人的環境は、家族や周りの人との関係を示す環境の要因です。
4.正解です。
5.社会とのつながりは、社会的な要因です。
問題87
認知症(dementia)の人への環境の配慮に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1視覚的認識を容易にするために,廊下の手すりに色をつけて目立つようにする。
- 2聴覚に影響を与えるために,ピクトグラム(pictogram)を表示する。
- 3音の選択的聴取の力を高めるために,BGM(background music)の音量を大きくする。
- 4穏やかに生活するために,居室の光の刺激を強くする。
- 5落ち着く空間をつくるために,居室を細かい模様の壁紙で統一する。
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正答:1
正解は1です。認知症のある人は、色や形など目で見て分かる手がかりがあると、場所や物に気づきやすくなります。廊下の手すりに色をつけて目立たせると、手すりが見つけやすくなり、安心して移動できます。刺激を増やすのではなく、必要な情報だけを分かりやすく示すことがコツです。
1.正解です。
2.ピクトグラム(絵で示す表示)は目で見て分かる工夫で、聴覚への配慮ではありません。
3.BGMの音量を大きくすると、必要な音が聞き取りにくくなります。
4.強い光の刺激は、かえって落ち着かない原因になります。
5.細かい模様の壁紙は見え方を混乱させ、落ち着きにくくなります。
問題88
次の記述のうち,認知症(dementia)の人の遂行機能障害の症状として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1ご飯を食べたことを忘れて,ご飯をほしいと言う。
- 2包丁の使い方を忘れて,うまく使うことができない。
- 3食事が配膳されているが,左側のものを残す。
- 4調理の手順を順序だてて行うことができない。
- 5皿の模様をおかずと間違えて,スプーンですくおうとする。
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正答:4
正解は4です。遂行機能障害は、計画を立てて順序よく実行する力が下がる症状です。調理は、材料をそろえ、火加減や順番を組み立てる必要があるため、うまく進められなくなります。工程を分けて示し、見通しを持てるようにすると「できる形」で支援できます。
1.ご飯を食べたことを忘れるのは、記憶障害です。
2.包丁の使い方が分からなくなるのは、失行です。
3.左側のものを残すのは、半側空間無視です。
4.正解です。
5.皿の模様をおかずと間違えるのは、見え方の誤り(錯視)です。
問題89
Aさん(75歳,男性)は,認知症(dementia)で,通所介護(デイサービス)を利用している。介護福祉職が,「今日は何月何日でしょうか」と聞くと,Aさんは,「9月」と答えた。介護福祉職が,「今朝,Aさんの家の庭にあじさいが咲いていましたね」と言うと,Bさんが,「あじさいが咲くのは6月?」と答えた。介護福祉職は,「そうです。今日は6月22日です」と言い,ホワイトボードに日付とあじさいの絵を描いた。介護福祉職が,「6月生まれの方はいますか」と聞くが,返事がない。介護福祉職は,「今日は6月22日ですが,あと3日でAさんの誕生日ですね」と伝えた。
次のうち,介護福祉職が実施した技法として,適切なものを1つ選びなさい。
- 1タッチケア(touch care)
- 2アートセラピー(art therapy)
- 3リアリティ・オリエンテーション(reality orientation)
- 4ライフレビュー(life review)
- 5グリーフケア(grief care)
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正答:3
正解は3です。介護福祉職は、あじさいの話から季節を伝え、「今日は6月22日です」と日付を伝え、ホワイトボードに日付とあじさいの絵を描いています。このように、今の年月日や季節などの現実の情報を分かりやすく示して見当識を助ける方法を、リアリティ・オリエンテーションといいます。
1.タッチケアは、手や体にやさしく触れて安心を伝える方法です。
2.アートセラピーは、絵などの創作を通して気持ちを表す方法です。
3.正解です。
4.ライフレビューは、昔の思い出を語り、人生をふり返る方法です。
5.グリーフケアは、大切な人を亡くした悲しみを支える関わりです。
問題90
Aさん(88歳,女性)は,4年前に,認知症(dementia)と診断された。在宅で長男が介護している。Aさんは,3か月前から,何度もトイレ以外で排泄しようとする様子がみられた。長男が繰り返しトイレの場所を教えているが,状態は変わらない。長男はAさんに対して,「何回,同じことを言ったら,わかるんだ」と大声でどなってしまい,その後で落ち込むようになった。また,長男は,「認知症(dementia)がいつまで続くのか」「自分に何か問題があったのではないか」と言って,自分を強く責めている。
次のうち,Aさんの認知症(dementia)を長男が受け入れる過程と考えた場合,このときの長男の心理的特徴に該当する段階として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1ショック期
- 2否認期
- 3混乱期
- 4解決への努力期
- 5受容期
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正答:3
正解は3です。長男は、Aさん(88歳,女性)に何度トイレの場所を教えても変わらず、「何回、同じことを言ったら、わかるんだ」と大声でどなり、その後で落ち込んでいます。「いつまで続くのか」「自分に問題があったのでは」と自分を強く責めており、怒りと悲しみが入り混じる混乱期にあたります。
1.ショック期は、診断を知って強い衝撃を受け、何も考えられない時期です。
2.否認期は、認知症であることを認めたくない時期です。
3.正解です。
4.解決への努力期は、気持ちを立て直し、対応を工夫し始める時期です。
5.受容期は、認知症を受け入れ、その人らしさを認められる時期です。
出典
- 社会福祉振興・試験センター「過去の試験問題」
https://www.sssc.or.jp/kaigo/past_exam/index.html - 社会福祉振興・試験センター「第38回 介護福祉士国家試験 合格基準・正答一覧」
https://www.sssc.or.jp/kaigo/past_exam/pdf/no38/k_kijun_seitou.pdf - 社会福祉振興・試験センター「過去問題利用にあたっての留意事項等」
https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html - 社会福祉振興・試験センター「第38回 試験問題(認知症の理解)」
https://www.sssc.or.jp/kaigo/past_exam/pdf/no38/k_pm_03_38.pdf
確かめた日:2026年11月6日
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